プライベートの会話ではあまり使わない言葉でも
ビジネス用語や冠婚葬祭などで堅い文章を書いたり話したり
する時に使う言葉というものがあります。

そんな言葉の中に「及び」と「並びに」という言葉があります。
この2つは同じような意味に思えますが、違いはどこにあるのでしょうか。

この記事では具体的な「及び」と「並びに」の使い方や
違い
などについて解説していきます。

使い方を間違っていると、「言葉を知らない人だな」と
思われてしまう事もあるので、しっかりと違いを抑えておきましょう。

及びと並びにとはどんな意味?

言葉自体は学校の授業で使ったり仕事で使ったりした
ことがある人も多いでしょうけど、意味を理解しているかというと
分からないという人は多いです。

「及び」は複数の事物(ものごと)や事柄を並べて
複数の言葉を並列して表現したり付け加えることができる接続詞として使われています。

辞典を見てみると
~と~、そして、並びになどの意味があると書かれています。

単純に複数の語句を繋げるのが及びという言葉ですので、
例を出してみると分かりやすいかと思います。

鉛筆及びボールぺンを買ってきてください。

この場合には鉛筆とボールペンを
それぞれ両方とも購入してきてくださいという意味になります。

どちらか片方だけではなくて、複数の名詞や事柄を
一緒に何かしてほしいときに指示する言葉として使えます。

また、「並びに」についてはA及びBなどになったグループに
異なるグループであるCを接続したい時に使う接続詞です。

並列の関係である状態として表すことに使われると辞典にはあります。

~と~、そして、などを表します。

両方とも並列を表す言葉で日常的には同じ意味として使われていますが、
例えばどんな使い方をされているのでしょうか。

監督及び「並びに」選手は全力を尽くしてプレーしました。
メダル及び「並びに」賞状をさしあげます。

このように使われていたりしますが間違いではありません。
ただし、明確に法律用語などでは区別されて使われています。

及びと並びにの違いは何?

これら2つの言葉は大きな意味としては同じという事が
分かりましたが法律用語などではどんな分けられ方をするのでしょうか。

ほとんど同じ意味ですが、使い方には明確な違いがあったのです。

及びは同じような種類や分類もしくは言葉の特徴的に
「小さい差しかないもの」を表現する時に使う言葉です。

AとBとCのように及びは語句の間に~とが入っている思って
分類や言葉のニュアンスの近いものを複数付け加えたものと思うと簡単です。

例:社長及び従業員
同じ会社の人なので分類的に同じなので及びを使う。

例:リンゴ及びブドウ
果物ということで同じ分類なので及びを使う。

また、並びには、種類や分類が分かれているもので、
言葉の性質的にも「大きな差があるもの」を並列で表現する時の言葉です。

及びは分類もしくは特徴的に近いものを
単純に複数繋げていくための接続詞ですが、及びで並列でつながったグループの語句と、
別のグループの語句を繋げるのが「並びに」です。

こういったものが参考例になるでしょう。

例:リンゴ及びブドウ並びにパン
リンゴやブドウなどは果物という分類が同じですが、
パンは果物ではなく分類が全然違うので、並びにを使う。

大きく分類や意味のニュアンスが異なる語句の場合に「並びに」を利用するという事ですね。

例:株主様及び従業員並びにお取引先の皆様とのパーティー開催いたします。

自社の株主と従業員は会社内の人というグループとして及びで表して
お取引先は所属会社が違うため並びにを使う。

つまり、分類として同じものか、言葉のニュアンスとして
近いものは及びで言葉を連結していきますし、分類や言葉のニュアンスに大きい差が
あるものを接続詞でつなぐ時に「並びに」を使うということになります。

「及び」と「並びに」で句読点は必要?

及びは似ている名詞や物事を単純に繋げていくので
2つ以上を繋げることになりますが、2つの場合は語句の間に「及び」とつけます。

社長及び役員

一方、2つ以上の語句を繋げる時に、毎回及びを使う人は少ないです。

3つ以上の語句を並列で並べる時には
最後の語句の前にだけ「及び」をつけるのがおすすめの使い方です。

最後の語句までの言葉の間には句読点をつければいいのでしょうか。

学校や会社などを例に出すと分かりやすいですが、
同じカテゴリーの人を並列で接続して表すときは以下のように
読点(、)を利用すると読みやすくなります。

社長、取締役及び従業員
校長、教師、生徒及び保護者

もし、語句を繋げる時に読点を利用しなかった場合でも、
間違いではありませんが、あると及びが何個もあって文章が読みにくくなります。

「及び」と「並びに」の使い方の例文

ここでさらに理解度を深められるように及びと並びにの
例文を用意してみましたので参考にしてもらえればと思います。

ただ、以前に比べて細かく指摘される事などは減っていて
曖昧な使われ方をする事が多いので間違っても問題はありませんよ。

知っておくと法令用語などでも使われる
使い方が身に付けれられるのでできる人という感じを出すことができるという事になります。

・お手続きには印鑑及び筆記用具を持参してください。

特定の手続きをするための持ち物としてこういった文章を
見る機会はありますよね。

・業務に携わる上で必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない。

不動産系の資格の宅建に関する法律の宅建業法に記載が
あった文面から参考としてもってきました。

勉強を続けていくための言葉なので、及びを使うことになります。
資格を取ったらおしまいではなくて努力をして責任をもって業務に
携わるようにしてもらうための文面ですね。

・免許証の住所など登録情報の変更並びに紛失による再発行について

住所などの情報変更をするのと、再発行では分類が
大きく分かれているので「並びに」を利用します。

・A会社の社長及び従業員並びにB会社の社長及び従業員で合同懇親会を開催

こんな会があったら
参加したくないという人も多いでしょうね笑

A会社に所属している社長や従業員は同じ会社の人なので
分類が同じということになりグループとなります。

B会社に所属している人も同じ意味でグループとして分かれます。

懇親会という同じ目的でおなじ場所に集まるのは一緒だけど、
所属している会社自体が違うため分類として言葉の特徴としても大きな差が
あるので「並びに」を使って接続するということです。

及びや並びにを英語にするとどうなる?

時々ですが並びにを英語の意味にすると「or」だと
言っている人がいるのですが、正しくは「and」です。

「及び」と「並びに」は両方とも英語にするとandになっていて、
辞典を見てみると「~と」「および」「そして」と記載があります。

orはまたは、もしくは、あるいはなどを意味しているので、
複数のうちどれか1つのみという意味になりますからね。

orは並列で語句を繋げるわけではないので、全然意味が異なってきます。

及びや並びにの類義語

「その上」
「さらに」
「かつ」
「加えて」

これらの言葉が同じように~と、そして、などの意味と
同じ意味があるので類義語はとっても多いです。

堅い文章を書く機会がある時には、「及び」や「並びに」を
使ってそれ以外の時には文章の内容にあった言葉を選んで文章を作るといいでしょう。

実際にこうやって記事を書いていても
及びや並びになんて使うことはほとんどありませんからね。

まとめ:

及びと並びにの使い方や意味などについて解説をしました。

主にビジネス関係の書類や法律の文章などで使う機会が多いです。
法令用語として

堅い文章になりますが、正しく活用すると読みやすくて
言葉の使い方を理解した人の文章だなと思われます。

どっちを使えばいいのか分からない時には
・種類や分類が同じものなのか。

・言葉の意味などが性質的に近い意味のものなのか。

このあたりを考えてみると、分けて使うことができるようになりますよ。